服部俊夫教授の結核感染症に関する研究成果が International Journal of Molecular Science誌(電子版)に掲載されました

2017.7.3 - 吉備国際大学

この度、吉備国際大学保健医療福祉学部の服部俊夫教授と仙台市立病院の芦野有悟医師らの研究グループとの研究成果が6月28日にInternational Journal of Molecular Science誌(電子版)に掲載されました。詳細は下記ご覧ください。

【概要】
吉備国際大学保健医療福祉学部の服部俊夫教授及び仙台市立病院の芦野有悟医師らの研究グループは、世界人口の3分の1が感染している結核感染症の肺外結核:胸膜炎患者胸水中に、免疫制御蛋白のガレクチン−9が極めて高値であることを見出し、困難な胸膜炎の診断に有用であることを示した。さらにガレクチン9が炎症因子のIFN-γと共にアポトーシス(細胞死)を誘導し、胸膜滲出にいたることを明らかにした。ここに示したガレクチン9の診断的価値と新たな胸水産生の機能的関与は、 アジアで流布するHIV感染を伴った肺外結核に対して、新しい診断・治療法の可能性を示した。本研究結果は6月28日にInternational Journal of Molecular Science誌(電子版)に掲載された。本研究は日本医療開発機構の支援を受けて行われた。

【詳細な説明】
結核感染症は、呼吸器感染症で、世界中で年間1千万以上が発症すると考えられている。日本では、近年以来HIV感染が広まると輸入感染が現れるにつれ、結核感染が再び注目されている。結核感染は肺の感染とは限らず、人の免疫力や感染菌株の毒性によって、あらゆる臓器が病巣になり得る。既に我々はガレクチン9と同じマトリセルラータンパク質のオステオポンチンがメモリーT細胞を肉芽腫に誘導することを示した (Beata Shiratori, et al. Int. J. Mol. Sci. 2017, 18(1), 19)。ここでは結核性胸膜炎の診断・治療におけるガレクチン9の関与を明らかにし、、新しい治療法と結核のモニタリング方法の存在の可能性を示唆しました

【用語説明】
Galectin-9: 細胞間液に存在する糖鎖と結合できる蛋白の一つ。細胞の免疫受容体と反応し、活性化T細胞のアポトーシス誘導、好酸球遊走、癌細胞のアポトーシス誘導、細胞接着、炎症細胞の組織への遊走・接着を促進する活性を持つ。

【論文題目】
Secretion of IFN-γ Associated with Galectin-9 Production by Pleural Fluid Cells from a Patient with Extrapulmonary Tuberculosis-「肺外結核患者からの胸水細胞が産生するIFN-γはgalectin-9に関わる」
本研究結果は、International Journal of Molecular Scienceに日本時間6月28日付けでウェブ上に掲載されました。

http://www.mdpi.com/1422-0067/18/7/1382

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